タダの人間として

部屋が、さながらアトリエのようになってきた。
色紙や色テープや写真や本やらがあちらこちらに散在している。
狭い部屋なのに大変だ。

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写真を撮るときは、特に何も考えず、パッと撮る。
一眼レフカメラや、もしくはトイカメラなどではなくて、
普通にデジカメでどんどん撮る。
そして現像するときは一般的なＬサイズ判。
写真屋さんに勧められるままに。

今日、たくさんの写真を現像し、
部屋中に並べてみた。
写真たちを眺めながら気づいたことがあった。
美しい景色を撮るから美しい写真なのではなくて、
美しいと思って撮るから美しい写真なのだということ。
それに気づいたとき、
しっかりしたカメラで撮らないとダメなのではないかとか、
Ｌ判サイズで本当にいいのかとか、
そういう類の不安が消えた。
とりあえず。

敷居のないフラットな感じがいいなと思う。
段差をつけるのは神様だけでいいやろう。
神社や仏閣はどれも階段を上った先にある。
私は何の変哲もないタダの人間で、
今更言うことでもないけど、それでいいやと思う。
それがいいと思ったから。
改めて。

今、目の前に一本のボールペンがある。
たとえばこのボールペンの美しさを見つけられたのなら
そしてその美しさの一部でも写真として切り取れたのなら
それはとても素敵なことやと思う。




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たとえそれが、一握りの土くれであっても
良いものは、しっかりつかんで離してはいけない。
たとえそれが野原の一本の木であっても
信じるものは、しっかりつかんで離してはいけない。
たとえそれが、地平の果てにあっても
君がなすべきことは、しっかりつかんで離してはいけない。
たとえ手放すほうがやさしいときでも
人生は、しっかりつかんで離してはいけない。
たとえわたしが、君から去っていったあとでも
わたしの手をしっかりつかんで離してはいけない。

『MANY WINTERS』の中の一節