手をつなぐ
日々のこと、好きなもののことなどツラツラ書きます。
生身の人間
色々書くことはあるんやけども・・・本の話を。
土曜はみどりんと三十三間堂を拝観し、その後、
新風館というところであったフリーライブを観に行き、
そして最後は一乗寺にある恵文社という本屋さんへ行った。
恵文社一乗寺店は、心斎橋のStandard Bookstoreと同様に、
本のセレクトがすごくおもしろくて。
ベストセラーを置かない本屋さん、雑貨もある本屋さん。
ここに来たのは土曜で3回目やった。
お互い、暗黙の了解で自分の世界に没頭。
最初、銀杏ボーイズ峯田とサンボマスター山口の対談が載った雑誌をパラパラ読んで、
その後、大判の浮世絵の本を読み、アイヌ語の本をさくっと。
そして手に取った本。
吉永マサユキ氏の写真集、『ニッポンタカイネ』。
帯に書いてある言葉を引用。
「20世紀末、タイ、ミャンマー、パキスタン、モンゴル・・・あらゆる国々の人々を吸収し、
アジア化していった東京。
その「アジア人の日常」を捉えた『ニッポンタカイネ』が刊行されてから十余年。
長らく在庫切れでプレミア化していた吉永マサユキの代表作が世紀をまたいでついに復刊!」
写っているのは人物のポートレート。
「インドネシア プディ・サントソ・ヨハン 工場/日本語学校に通う勤労学生」
「パキスタン シャー・ナスィル 32歳 メッキ工」
「ミャンマー ティ・ティ 29歳 居酒屋」
「フィリピン レイア・ジョイ 29歳 印刷工」
「チベット ラマ・ウゲン 28歳 チベット僧」
「タイ ナン 38歳 タイレストラン」
ベッドに腰掛けている人、家の中でくつろいでいる人・・・
そのあるがままの姿。
写っているのは生々しいまでに人間。
被写体との距離の近さ、空気の濃さがすごい。
礼拝をする人たちの姿も、郷土料理を作って食べる人の姿も
そのどれもこれもがとにかく近い。
物理的な距離ではなくて、撮影者と被写体となった人びととの心の距離感が
驚くほどに近い。
ページを繰るごとにこんなに感動した写真集は初めてやった。
生身の人間の姿を撮っている。
それも大量に。
東京に住むアジア人たち。
日本人とよく似た顔をした、同じアジアからやってきた人たち。
よく似ているのに、決して対等には扱われない人たち。
下手したら家もロクに借りられない人たち。
福祉業界が人手不足でインドネシアから介護士を受け入れるという話にしたってそう。
日本で介護士の資格をとるために課せられる要件のあまりのキツさ。
まるで人身売買みたいな。
そして人が足りないから来てもらうくせに、受け入れるか否かで起こる論争。
曰く、「インドネシア人ガ、マトモニ介護デキンノカヨ?」
おこがましいにも程があるやろう。
いっそ、ぶん殴ってやろうかと思うけど、誰をぶん殴ればいいのかわからない。
わからないようにできている。
仕組まれている。
なおさら腹が立って仕方がない。
・・
本の最後、それぞれの国の国歌が原文と和訳付で載っていた。
「ベトナム社会主義共和国 国歌
ベトナムのつわもの 救えや 我が祖国
長い旅をしている足音が響く
赤き旗振りて勝利に進めや
・・
敵を乗り越え 苦難を破りて
正義のために闘わん
進め 共に ベトナムよ永遠なれ」
「ミャンマー連邦 国歌
・・
我々皆の国 命をかけて守ろう
我が国 我が土地 我が大地」
「モンゴル国 国歌
我らが不可侵の革命の国 全モンゴルの聖なる源
敵の支配に決して屈せず 常に平安に永久に残る
・・」
国を守ろう、死守しようという歌詞の多いこと。
・・アジア最貧国と言われるバングラデシュの国歌を読んだときには
ふいに涙がこぼれた。
「バングラデシュ人民共和国 国歌
輝くベンガル 我が愛する国 楽しい国 母なる国よ
愛する おお 我が国 その空 その空気 歌は生まれでる
おお 春の日 マンゴウ熟れて かおる 甘き 香よ
おお 秋の日 とうきび みのるよ
見よ その美しさを わがベンガル やさしき我が母
河の岸には バニヤン茂りて 我ら 涼しき木陰に集い 憩うよ
喜びに見ている 言葉誘うよ
甘き言葉 喜びに見てる 言葉誘うよ
もし きみがうつむいたならば 私の頬濡らすよ
我がベンガル やさしき我が母」
ただ大地を愛し、歌う歌。
・・
吉永氏が最後に書いている言葉。
「ほとんどの人が経済的理由で日本へ出稼ぎに来ていて、見知らぬ土地で、聞き慣れない言葉で
不安渦巻き、劣悪な労働条件のもとに働いていた人がほとんどやったろうに、
それに伴う悲壮感は微塵もなく、かえって、他国である日本で自己のアイデンティティを守る為なのか、自己の存在証明を得る為なのか、ぶっちゃけ自分が自分らしくある為であろう、
自国の祭りや風習を持ち込んで、それがやけに楽しそうで、溌剌としているのである。」
そうなのだ。
この本の中の人はみんな明るくて、ひょうひょうとすらしていて、
何とも力強くたくましい。
もう一度見直してみる。
やっぱりそうだ。
怒ったり泣いたりしていたのは、ほかでもない、私たった一人だった。
・・
あー・・・もう!!
いっぱい書いちゃったな。今日も。
ねぇ、誰か止めてくださいよー。笑
突っ込んでぶつかって・・・
まったく馬鹿げてる!
でも・・それでも
やっぱり生身の人間に触れてみたい。
そう思わせてくれる一冊。
土曜はみどりんと三十三間堂を拝観し、その後、
新風館というところであったフリーライブを観に行き、
そして最後は一乗寺にある恵文社という本屋さんへ行った。
恵文社一乗寺店は、心斎橋のStandard Bookstoreと同様に、
本のセレクトがすごくおもしろくて。
ベストセラーを置かない本屋さん、雑貨もある本屋さん。
ここに来たのは土曜で3回目やった。
お互い、暗黙の了解で自分の世界に没頭。
最初、銀杏ボーイズ峯田とサンボマスター山口の対談が載った雑誌をパラパラ読んで、
その後、大判の浮世絵の本を読み、アイヌ語の本をさくっと。
そして手に取った本。
吉永マサユキ氏の写真集、『ニッポンタカイネ』。
帯に書いてある言葉を引用。
「20世紀末、タイ、ミャンマー、パキスタン、モンゴル・・・あらゆる国々の人々を吸収し、
アジア化していった東京。
その「アジア人の日常」を捉えた『ニッポンタカイネ』が刊行されてから十余年。
長らく在庫切れでプレミア化していた吉永マサユキの代表作が世紀をまたいでついに復刊!」
写っているのは人物のポートレート。
「インドネシア プディ・サントソ・ヨハン 工場/日本語学校に通う勤労学生」
「パキスタン シャー・ナスィル 32歳 メッキ工」
「ミャンマー ティ・ティ 29歳 居酒屋」
「フィリピン レイア・ジョイ 29歳 印刷工」
「チベット ラマ・ウゲン 28歳 チベット僧」
「タイ ナン 38歳 タイレストラン」
ベッドに腰掛けている人、家の中でくつろいでいる人・・・
そのあるがままの姿。
写っているのは生々しいまでに人間。
被写体との距離の近さ、空気の濃さがすごい。
礼拝をする人たちの姿も、郷土料理を作って食べる人の姿も
そのどれもこれもがとにかく近い。
物理的な距離ではなくて、撮影者と被写体となった人びととの心の距離感が
驚くほどに近い。
ページを繰るごとにこんなに感動した写真集は初めてやった。
生身の人間の姿を撮っている。
それも大量に。
東京に住むアジア人たち。
日本人とよく似た顔をした、同じアジアからやってきた人たち。
よく似ているのに、決して対等には扱われない人たち。
下手したら家もロクに借りられない人たち。
福祉業界が人手不足でインドネシアから介護士を受け入れるという話にしたってそう。
日本で介護士の資格をとるために課せられる要件のあまりのキツさ。
まるで人身売買みたいな。
そして人が足りないから来てもらうくせに、受け入れるか否かで起こる論争。
曰く、「インドネシア人ガ、マトモニ介護デキンノカヨ?」
おこがましいにも程があるやろう。
いっそ、ぶん殴ってやろうかと思うけど、誰をぶん殴ればいいのかわからない。
わからないようにできている。
仕組まれている。
なおさら腹が立って仕方がない。
・・
本の最後、それぞれの国の国歌が原文と和訳付で載っていた。
「ベトナム社会主義共和国 国歌
ベトナムのつわもの 救えや 我が祖国
長い旅をしている足音が響く
赤き旗振りて勝利に進めや
・・
敵を乗り越え 苦難を破りて
正義のために闘わん
進め 共に ベトナムよ永遠なれ」
「ミャンマー連邦 国歌
・・
我々皆の国 命をかけて守ろう
我が国 我が土地 我が大地」
「モンゴル国 国歌
我らが不可侵の革命の国 全モンゴルの聖なる源
敵の支配に決して屈せず 常に平安に永久に残る
・・」
国を守ろう、死守しようという歌詞の多いこと。
・・アジア最貧国と言われるバングラデシュの国歌を読んだときには
ふいに涙がこぼれた。
「バングラデシュ人民共和国 国歌
輝くベンガル 我が愛する国 楽しい国 母なる国よ
愛する おお 我が国 その空 その空気 歌は生まれでる
おお 春の日 マンゴウ熟れて かおる 甘き 香よ
おお 秋の日 とうきび みのるよ
見よ その美しさを わがベンガル やさしき我が母
河の岸には バニヤン茂りて 我ら 涼しき木陰に集い 憩うよ
喜びに見ている 言葉誘うよ
甘き言葉 喜びに見てる 言葉誘うよ
もし きみがうつむいたならば 私の頬濡らすよ
我がベンガル やさしき我が母」
ただ大地を愛し、歌う歌。
・・
吉永氏が最後に書いている言葉。
「ほとんどの人が経済的理由で日本へ出稼ぎに来ていて、見知らぬ土地で、聞き慣れない言葉で
不安渦巻き、劣悪な労働条件のもとに働いていた人がほとんどやったろうに、
それに伴う悲壮感は微塵もなく、かえって、他国である日本で自己のアイデンティティを守る為なのか、自己の存在証明を得る為なのか、ぶっちゃけ自分が自分らしくある為であろう、
自国の祭りや風習を持ち込んで、それがやけに楽しそうで、溌剌としているのである。」
そうなのだ。
この本の中の人はみんな明るくて、ひょうひょうとすらしていて、
何とも力強くたくましい。
もう一度見直してみる。
やっぱりそうだ。
怒ったり泣いたりしていたのは、ほかでもない、私たった一人だった。
・・
あー・・・もう!!
いっぱい書いちゃったな。今日も。
ねぇ、誰か止めてくださいよー。笑
突っ込んでぶつかって・・・
まったく馬鹿げてる!
でも・・それでも
やっぱり生身の人間に触れてみたい。
そう思わせてくれる一冊。
PR
この記事へのトラックバック
トラックバックURL
カレンダー
カテゴリー
プロフィール
HN:
fisun
性別:
女性
この記事へのコメント
無題
京都にいたころ、よくいりびたってました。
知人とかとの待ち合わせでも、しばしば使ったな。
あそこなら待ってても腹立たないから。
おいてる本もおもしろいし、小物見るのもも楽しかったな。
フライヤーもセンスいいのよかった。
バングラ!
おれの第三の故郷!
国家の作詞はタゴールだったはず。
歌詞もいいし、メロディも最高。http://www.youtube.com/watch?v=LknudHKSWpI&feature
ひさしぶりのコメント。
あいかわらずテンション高くって申し訳ない・・・・。
無題
すんません、ちょっとつっこませてもらってもよろしいか☆
コメント、全然久しぶりじゃないっす!
むしろ頻繁っす!!
そしてバングラが第三の故郷ってどんだけ帰る場所あんねんな、おいっ!
あと、テンション高いことよりも余白の多さのが気になるぞ、おいっ!!!
ふぅ・・・。
ついつい関西女の血が騒いでしまいました。
失態、お許しを・・・。
恵文社いいですよねー☆かなりお気に入りの場所です。
無題
気にしないでもう一回書かせていただこう。
恵文社で本見たあとゆっくりした時を過ごしたいときのための
おすすめのカフェの紹介させてください。
叡電で二駅いくと元田中って駅があるんだけど、
そこにある「喫茶探偵」というあやしげな名前のカフェがある。
10年くらい前まで、この場所には「三茶」っていう普通の喫茶店があった。
おばあちゃんがひとりで経営するどこにでもあるような昔風の喫茶店。
探偵は、三茶時代の内装や食器などもひきついでて、いい感じにしあがってます。
故郷について最後に一言。
また長いって叱られること覚悟で書きます。
故郷だからった帰れるとこだとは、必ずしも限らないってこと。
まあおれが書くまでもなく、そんなことみんな知ってることなんだろうけど。
最近知り合ったYさんという60くらいの男性が涙ぐみながら語るんだ。
故郷に帰りたい、だけど帰る勇気がない・・・って。
それぞれいろんな事情あるんだろうけど、
とくに現在のおれのまわりの男性ってわけありの過去ある人
多いしね。