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手をつなぐ

日々のこと、好きなもののことなどツラツラ書きます。

いつまでも

年末最後の更新を。
少しだけ。

小学校の同級生たちと、年末恒例の忘年会に行ってきた。
焼肉屋での一次会に引き続き、向かった二次会はカラオケ。
懐メロから最近の曲までいろんな音が入り乱れる中、友人からのリクエストで
竹内まりやの『純愛ラプソディ』を歌うことになった。
この曲は私にとって、すごく懐かしい、思い出深い曲。

・・

高校生のとき、初めて付き合うことになった彼のこと。
いつもニコニコ笑ってて、女の子にモテて、体内の構成成分が
水の代わりに優しさで出来てるんじゃないかと思うくらい、とにかく優しい人だった。

付き合うことになる前、ある日を境に、彼は毎日他愛のない用事を作っては
休み時間、私のもとへとやってくるようになった。
「この100円玉を50円玉と10円玉5枚に両替してほしい」とか、
「赤鉛筆を少し借りたいんやけど」とか。
そんなホント些細な、わざわざ私に頼むまでもないような用事。
でも私は最初、その彼じゃなく、別に好きな人がいて。
しかもその好きな人というのは彼の親しい友人の一人だった。
だから最初は彼の行動に戸惑い、どうしたものかと思っていた。
でも彼は毎日やってきた。
ニコニコ笑いながら、「消しゴムを貸してほしい」などと言って。
不思議なことに、毎日続くと段々とそれが楽しくなってきた。
たまに来ない日があると、(どうしたのかな?)と気になって仕方のない自分にびっくりしたりも。
彼といると楽しいなと思うようになり、段々、どっちを好きなのかわからないような、
そんな気持ちにもなっていた。

彼は、私が彼の友人を好きなことに気づいていて、
実はきっと色々悩んでいたんやと思う。
ある日、手渡されたのがこの曲のCDだった。
「この曲の歌詞にすごく共感する。良かったら聴いてみて」、と言って。
家に帰ってきてからCDを聴いた。
流れてきたのはなんとも切ない歌詞に優しいメロディーの曲で、
そのとき私は、こんな気持ちの伝え方があるものかと素直に感動し、
彼のことを素敵やな、と心から思った。

その翌日、彼から告白された。
そのときの言葉がなんとも彼らしくて、今でもよく覚えている。
「彼女になってほしい。いいよって言ってもらえるまで、このお願いは続ける!」

・・

淡い、優しい記憶。
当時、私は携帯電話を持っていなくて(感覚的に持ちたくないと思っていたから)、
そんな私に彼は毎朝手紙を書いてきてくれた。
大学ノートを一枚切り取った紙に書かれていたのは日々の出来事や
私への思い、あと、最後に必ず4~5行の詩が添えられていた。
彼はロマンチストで、いつも夢を見ていた。

誕生日のプレゼントは手作りのボイスメッセージカードだった。
カードには私と彼の写真が貼り付けられてあったり、絵が描かれたりしていて、
写真を引っ張ったらその下からまた違う写真が出てくるみたいな、
おもしろい仕掛けがいっぱいの手の込んだものだった。
音声再生ボタンを押して聞こえてきたメッセージは
「ヒスン、17歳の誕生日おめでとう。今年はお金が無くてこんなものしか買えなかったけど・・・
こんなもの?違うな・・。(ここで少し、仕切り直しの咳払い)
来年はお金を貯めてもっといいものをプレゼントするから楽しみに待っててな」。
このプレゼントが、嬉しくて、嬉しくて。



彼との日々は私の中で、優しさの原体験になっている。
誰かを大切にするということを具体的に教えてくれたのは彼だ。
映画館で落し物をしたとき、既に次の上映が始まっている座席に戻り
真っ暗な床を這いつくばって落し物を探してくれたこと。
帰り道、家が真逆の方向にも関わらず、いつも私の最寄駅まで一緒に帰ってくれたこと。
ケンカをしたら必ず追いかけてきて、ごめんねを先に言ってくれたこと。
覚えているだけでも書き出したらキリがない。
そして何よりの優しさは、私が別れを切り出したとき、
私が次に進めるよう、そっと後押しをしてくれたこと。
思い出を美しいままに、私の心に残してくれたこと。
毎日書いてくれた手紙の中の言葉が、その後幾度となく私の心を支えてくれたこと。

彼とは別れてから一度も会っていない。
気づけばもう、10年になる。

もともと互いの家が遠かったということもあるし、
探せば理由は色々あるような気もするけど・・。
好きだったからこそ、簡単に会うことができなかったのかもしれない。
彼だけじゃない、私は誰かと付き合って別れるときはいつもそうだ。
好きだったということを忘れたくない。
会えない寂しさよりも、安易に会って、壊れてしまうものを見るのが恐い。
壊したくないと思うから。
せめてそれだけは壊さずに、ずっと大事にしたいと思うから。
会っても会わなくても、何かを失くすという事実に変わりはないのだけれども
でも、せめて。


昨日のカラオケのときみたいに、今でもふとした瞬間に
彼のことを思い出すことがある。
その瞬間はいつも、ほんの少し切なくて、でも温かい気持ちにもなる。
私と彼は今もどこかできっとつながっている。
思いは色褪せても、絆は消えない。
心の中で思い出すたびに生き続けるものがある。
そう思っている。


・・
誰かに何かをプレゼントするときはいつも手書きのカードを添える。
伝えたい気持ちがあるときはメールじゃなくて手紙を書く。
時々、詩を書いて添えたりもする。


・・
2011年の最後にこの話を書けて、なんかちょっと良かった。







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