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手をつなぐ

日々のこと、好きなもののことなどツラツラ書きます。

夜明けに語るカーデュー

倒れて寝てしまっていてさっき目が覚めた。
すごく疲れていた。なぜか。

・・

音楽が好きでずっと聴いている。
誰かがいいよと言った曲を探して聴いてみることも多い。
タワレコで試聴してて"発掘"した名盤もある。

Cornelius Cardew(コーネリアス・カーデュー)という、
ロンドンの前衛音楽家が作った『アイルランドにおける四つの原則』というアルバムは
音楽マニアっぽい人が雑誌で推薦していた。
YouTubeで試聴してみて、これは!!と思い、タワレコで取り寄せて買った。

"後期ロマン派音楽の様式美とアイルランド民謡の融合がプログレ・シーンをも
驚愕させた75年の革命作!"
このアルバムの帯に書かれてある言葉。
1974年に作られたこのアルバムは、実際、買った日から今もなお、
聴き直すごとに新鮮で、いつまでも飽きが来ない。
これはあくまでも私見やけど、20世紀の天才音楽家をあげるとして、
私はコーネリアス・カーデューの名を挙げる。

ちなみに、カーデューはピアニスト。
コーネリアス・カーデューという人のことをもう少し紹介するなら・・・

「英国実験音楽の父と称されるコーネリアス・カーデューは、欧州の前衛音楽と、米国の実験音楽の橋渡し的な役割を果たしたことで知られている。
1950年代後半から、シュトックハウゼンの助手として前衛音楽を学び、同時期にジョン・ケージの実験音楽に感銘を受けつつも、イデオロギー上の理由でそこから離反し、やがて即興の分野で独自の路線を見出すようになる。その傾向は、即興演奏集団AMMへの参加、そして自身によるScratch Orchestraの創設となって現われ、とりわけ後者は、正規の音楽教育を受けていない者でも、主体的に演奏に参加可能であるという、民主的なプロセスが採用された。
カーデューの試みは、狭義の意味での実験音楽を超えて、社会的なコミットメントを促す、政治的な意味でラディカルな実践であり、Scratch Orchestraにも参加していた、ブライアン・イーノ、ギャヴィン・ブライヤーズ、マイケル・ナイマン、デヴィット・ジャックマンの音楽のコンセプトにも多大な影響を与えることになったのである。その影響は、日本の音楽家も例外ではなく、昨年(2009年)、足立智美主宰による、カーデューの代表曲「論文」と「大学」の再演は記憶に新しい。81年に、不慮の事故死を遂げたカーデューだが、政治×アートを巡る問題提起は、00年代を終えた現在でも有効であるといえるだろう。」
(出典:ソニック・ナース

この上の文の気になる言葉、"社会的なコミットメントを促す、政治的な意味でのラディカルな実践"についてはwikipediaにも少し。
 

「カーデューは英国政界の極左グループに属し、様々な社会問題にも活動した。
(マルクス・レーニン主義を綱領とする)英国革命共産党の共同創設者でもある。
このため後に前衛音楽を棄て、後期ロマン派音楽の調的な様式によって作曲するかたわら、著書『シュトックハウゼンは帝国主義の手先』を執筆した(1974年)。
長らくマルクス主義や毛沢東主義の宣伝工作に献身し、しばしば伝統的なイングランド民謡を引用して数多くの歌曲を創作した(《社会契約なんかぶっ飛ばせ 'Smash the Social Contract' 》《偽りは一つ、真実も一つ 'There Is Only One Lie, There Is Only One Truth' 》)。日本の水牛楽団は、この時期のカーデューの創作・演奏活動(政治闘争としての芸術音楽の創作表現)に啓発されたとされている。
カーデューは、もはや芸術家としてより政治家としての活動が多くなった。1981年12月13日、ロンドンの自宅近くでひき逃げ事故に遭い突然この世を去った。犯人はわからずじまいである。突然の死により、二台ピアノのための《ブラヴォーグ Boolavogue》が未完の絶筆となった。」
(出典:Wikipedia)

この解説を読んで、わ、受け付けない!とか、こういうのは気持ち悪い、怖いとか思って、
もしカーデューを聴いてみない人がいるとしたら
すごく勿体ないことやなと、私は思ってしまう。
だって、そんな人もジョン・レノンは喜んで聴くんだ。
今日は(正確には昨日やけども)、ジョン・レノンの命日やった。
レノンは撃たれた。
カーデューはひき逃げされた。
レノンは聴くのにカーデューは聴かないっていうのはなんかちょっと矛盾してる気すらしてしまう。
・・これは二人共の音楽を好きな私の偏った見方かもしれないけども。

カーデューのこの『アイルランドにおける四つの原則』は、CDに付いてる解説を読む限り、
なるほど、たしかに政治的だ。
アイルランドをイングランドの植民地支配から解放しようとした「アイルランド反乱の歌」を
もとにした曲や、労働者階級の利益のために戦う西ベルリンの民衆組織のために
書かれた曲なんかが収録されている。
中国における抗日戦についてのバラードに基づいた曲もある。

私は最初にCDを聴いて、そのあと解説を読んだんやけど、
読みながら実はおもしろくてちょっと笑ってしまった。
だってここに収録されてる曲は驚くほど軽やかで迷いがないから。
音色の深みはしっかり出ているのに、演奏全体は圧倒的に軽やかで。
それでいて緊張感と安らかさを併せ持っていて、心は落ち着くのに眠くはならない。
そんな曲たち。
でも、そこに実はすごく深い意味が込められていたことを
解説を読んで私は初めて知り・・・。
驚いたし、正直、ちょっとウケた。
(うそ~!?)って。

一般的に、"革命"やら"労働者階級"やら"民衆"という言葉から
連想されるであろう音じゃない。
カーデューを聴いていると、革命も労働者も楽しげなものに思えてくる。
ちょっとふざけてるんじゃないかと疑うほどに。
ジョン・レノンの"Working Class Hero"の方がよっぽど
その辺のイメージな曲やと思う。
(もしかしたらレノン本人がそういう音のイメージを作った一人なのかもしれないけども。)

このアルバムを聴いて、私は、自分自身の思考もまた、世の中に流通している
"一般的"というよくわからない概念の影響を多大に受けているんだと気づかされた。



カーデューに会ったことはないけれど、たぶんめっちゃ変な人なんやろうなぁと
勝手ながら想像してしまう。
色々考えている一方で、ものすごくライトな感じ。
私の好きな感じだ。
だって真面目なだけなんてつまらない。
馬鹿馬鹿しくも大真面目。
カーデューのこのアルバムにはそれがあって、本当に愛すべき、だ。

・・

世の中の陽の目を見ない傑作をもっともっと聴いてみたいな。
タワレコに並ぶ音は圧倒的に欧米のものばかり。
TSUTAYAだってそう。

私が持っているアルバムでいうなら、キエフナイチンゲール合唱団のアルバム。
奇跡のタイミングで入手できたこのアルバムは
個人的に自分が持ってる盤の中でトップ3には入ってくる名盤やと思ってるんやけど、
でも日本では流通していない。
タワレコでは確実に買えない。
You Tubeでも観れない。聴けない。

こういう隠れた名盤をもっともっと知りたい。
どうやったら見つけられるんやろうね。



しかしながら、私の前に横たわっている自由なんて本当に限られたもんやな。
自由もそう。
探さないと見つからない。
でも、これはあきらめずにやっていきたいなと思う。



あきらめないことは、きっと大事。




Four Principles on Ireland
http://www.youtube.com/watch?v=tIi2-sAdIh8&feature=related

 

c0511f1b.jpeg







Cornelius Cardew
(1936-1981)








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